きもののほんとうの素晴らしさは余情にある。
余情は言外の趣をいう。きものという衣装は、多くの言葉を秘める。
だからきもの姿は美しいのである。
このような衣服文化は他に類をみない。日本人の生活の知恵といえるだろう。
きものの着こなしとは、きものとそれを着装する人間との一体感であり、ことに
きものにおいては、感情に応じた、それの使い方である。
つまり仕種であって、その仕種に情緒が伴うのである。
感情を直接の言葉にする事は、情緒を失うばかりではなく、社会の調和を乱す恐れがある。そこできものの仕種で緩和する。それがきものの特性であり、きものは古来よりそのような役割を務めてきた。洋服には求められない日本人の英知といってもよい